海は死にますか (其の二)
【雑草ポエム 第668話】(大東亜戦争開戦70年)
※前回(其の一)からの続きですので、未読の方は(其の一)から読んでいただくことを望みます。
遊就館におきまして、明治維新~西南戦争~日清戦争~日露戦争~満州事変~支那事変等々、様々な戦争の歴史を再認識するかのように、じっくりと時間をかけて展示物を眺めながら歩きました。

日本が優位に戦争を進めていた頃の物から、空気が一変しましたのが日米交渉~真珠湾攻撃となり、その後の終戦に至るまでのゾーンに足を踏み入れた時のことでございました。
大展示室で二台の『狂機』を目の当たりにした時、私は思わず固唾を飲み、眉間にシワを寄せてしまいました。
↓まず、天井から斜めに吊り下げられた人間爆弾『桜花(おうか)』に絶句。

下から見上げると解るのですが、着陸するための装備(車輪など)がまったく無い事に驚かされます。
これは、海軍空技廠が昭和19年に開発した『第一神風桜花特別攻撃隊神雷攻撃隊』における火薬ロケット推進方式の特攻機であり、いわゆる爆弾に操縦席と翼を付けただけの『人間爆弾』でございます。
↓空母の下に人間を乗せたまま吊るされる『桜花』。

敵艦船の一撃轟沈を目的として製作された必殺必死の特攻兵器であり、敵艦船付近まで母機の下部に吊し、目標近くで母機から切り離され、滑空とロケット推進により敵艦船に人間もろとも突入するという恐るべき飛行機。
↓空母から切り離され、敵艦の心臓部目掛けて突進(自爆)する『桜花』。

この『桜花』という名前が実に悲しい。
ただ…
頭部の爆弾は800キロで、命中すれば一撃で艦船を轟沈させる威力がありましたが、母機もろとも目標地点以前で撃墜される事が多く、戦果はあまりあがらなかったそうでございます。
合計10度に渡る出撃の結果、桜花パイロット55名、その母機の搭乗員368名という、無駄な戦死者を出してしまった大田正一少尉の愚かな発案。

連合国軍はこの兵器を『BAKA BOMB(馬鹿爆弾)』というコードネームで呼ぶほど呆れており、まったくもって『バカな狂機』を作ってしまったものでございます。
そしてもう一台…
↓恐るべき人間魚雷『回天』。

人間もろとも体当たりし、命と引き換えに敵艦を沈めようとする極限の兵器、人間魚雷『回天』。
太平洋戦争末期、敗北を重ねた日本海軍が考え出した究極の海の特攻作戦ではございましたが、アメリカ軍の強力な防御体制の整備と共に、思うように成果が挙がらなかったそうでございます。
これは人間の命を犠牲にした苦し紛れの戦法であり、まさに『狂気』が『狂機』を作らせ、多くの若い命を犠牲にしてしまったのでございます。
↓電球1個の薄暗くて狭い空間の中、最期の時を迎えた若い兵士の心境たるや…。

9ヶ月間で撃沈した敵艦は3隻、命を落とした若者は104名にものぼりますが、たまたま魚雷が故障したため、出撃できなかった隊員が 後にこう申しております。
『日本ほど、人間の命を粗末にした国はないだろう』…と。

世界におけるテロ組織が、現在でも様々な形で自爆テロを行っておりますが、国家外交の一つの手段として行う『戦争』と、暴力やその脅威による思想提示手段として行う『テロ』とは基本的に異なるものだと思います。
とは申せ、太平洋戦争末期の日本がそのような発想の先鞭をつけたと隣国に暴言を吐かれましても、もはや弁解の余地がないと思いますのは私だけではございますまい。
あくまで私的な見解ではございますが、日本人特有の国を愛する心、神仏を崇敬する気持ち、そして肉親への情愛を巧みに利用しながら、悲惨な戦争への道へと突き進んだのが大東亜戦争そのものではないのでしょうか。
↓出撃二時間前、子犬と戯れる最期の笑顔に胸が詰まる思いがいたします。

若い兵士は散りました。
彼らは…
女を抱く事すら出来なかったんだ。
by 桜川
(海は死にますか 其の三 へ続く…)
※前回(其の一)からの続きですので、未読の方は(其の一)から読んでいただくことを望みます。
遊就館におきまして、明治維新~西南戦争~日清戦争~日露戦争~満州事変~支那事変等々、様々な戦争の歴史を再認識するかのように、じっくりと時間をかけて展示物を眺めながら歩きました。

日本が優位に戦争を進めていた頃の物から、空気が一変しましたのが日米交渉~真珠湾攻撃となり、その後の終戦に至るまでのゾーンに足を踏み入れた時のことでございました。
大展示室で二台の『狂機』を目の当たりにした時、私は思わず固唾を飲み、眉間にシワを寄せてしまいました。
↓まず、天井から斜めに吊り下げられた人間爆弾『桜花(おうか)』に絶句。

下から見上げると解るのですが、着陸するための装備(車輪など)がまったく無い事に驚かされます。
これは、海軍空技廠が昭和19年に開発した『第一神風桜花特別攻撃隊神雷攻撃隊』における火薬ロケット推進方式の特攻機であり、いわゆる爆弾に操縦席と翼を付けただけの『人間爆弾』でございます。
↓空母の下に人間を乗せたまま吊るされる『桜花』。

敵艦船の一撃轟沈を目的として製作された必殺必死の特攻兵器であり、敵艦船付近まで母機の下部に吊し、目標近くで母機から切り離され、滑空とロケット推進により敵艦船に人間もろとも突入するという恐るべき飛行機。
↓空母から切り離され、敵艦の心臓部目掛けて突進(自爆)する『桜花』。

この『桜花』という名前が実に悲しい。
ただ…
頭部の爆弾は800キロで、命中すれば一撃で艦船を轟沈させる威力がありましたが、母機もろとも目標地点以前で撃墜される事が多く、戦果はあまりあがらなかったそうでございます。
合計10度に渡る出撃の結果、桜花パイロット55名、その母機の搭乗員368名という、無駄な戦死者を出してしまった大田正一少尉の愚かな発案。

連合国軍はこの兵器を『BAKA BOMB(馬鹿爆弾)』というコードネームで呼ぶほど呆れており、まったくもって『バカな狂機』を作ってしまったものでございます。
そしてもう一台…
↓恐るべき人間魚雷『回天』。

人間もろとも体当たりし、命と引き換えに敵艦を沈めようとする極限の兵器、人間魚雷『回天』。
太平洋戦争末期、敗北を重ねた日本海軍が考え出した究極の海の特攻作戦ではございましたが、アメリカ軍の強力な防御体制の整備と共に、思うように成果が挙がらなかったそうでございます。
これは人間の命を犠牲にした苦し紛れの戦法であり、まさに『狂気』が『狂機』を作らせ、多くの若い命を犠牲にしてしまったのでございます。
↓電球1個の薄暗くて狭い空間の中、最期の時を迎えた若い兵士の心境たるや…。

9ヶ月間で撃沈した敵艦は3隻、命を落とした若者は104名にものぼりますが、たまたま魚雷が故障したため、出撃できなかった隊員が 後にこう申しております。
『日本ほど、人間の命を粗末にした国はないだろう』…と。

世界におけるテロ組織が、現在でも様々な形で自爆テロを行っておりますが、国家外交の一つの手段として行う『戦争』と、暴力やその脅威による思想提示手段として行う『テロ』とは基本的に異なるものだと思います。
とは申せ、太平洋戦争末期の日本がそのような発想の先鞭をつけたと隣国に暴言を吐かれましても、もはや弁解の余地がないと思いますのは私だけではございますまい。
あくまで私的な見解ではございますが、日本人特有の国を愛する心、神仏を崇敬する気持ち、そして肉親への情愛を巧みに利用しながら、悲惨な戦争への道へと突き進んだのが大東亜戦争そのものではないのでしょうか。
↓出撃二時間前、子犬と戯れる最期の笑顔に胸が詰まる思いがいたします。

若い兵士は散りました。
彼らは…
女を抱く事すら出来なかったんだ。
by 桜川
(海は死にますか 其の三 へ続く…)
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