盲(めしい)
先日、大きな交差点で信号待ちをしていた時のことでした。
視覚障害者らしき男性が、白い杖を片手に私の横に立ち並び、青信号になるやいなや、とても速いスピードで横断歩道の中央部を器用巧みに歩いて行ったのです。
それはまるで前が見えているかのように、前方から進んでくる人の群に接触することもなく華麗に進むその姿は、実に見事なものでございました。
私はその時に感じたことなのですが…
『そういえば、目の不自由な人が怪我をしたというような話を聞いた事が無いな…』
そう…、むしろ目の見える健常者の方が石につまずいたり、物に突き当たったりしてよく怪我をいたします。
それは、なまじ目が見えるがために油断をし、行動も乱暴になるということ。
目の不自由な人は基本的に手探りで歩きますし、その一歩一歩が慎重であり、実に謙虚でございます。
そして、その一歩を歩むがために全神経を集中し、常に一生懸命歩きます。
これほど真剣な歩み方というものは、目の見える人では考えられぬこと。
人生で思わぬ怪我をしたくなければ、そして世の中でつまずきたくなければ、こうした目の不自由な人たちの歩み方を見習えば良いのでは…と、私は思います。
『一寸先は闇の世の中』などといいながら、気が付きますれば誰しもが随分と乱暴な歩み方をしているのではないでしょうか。
いくつになっても解らないのが『人生』というものであり、『世の中』というものでございます。
ならば、手探りで歩むほか道はございますまい。
解らない人生を、解ったようなつもりで歩むことほど危険なことはございません。
解らない世の中を、皆に教えられ、皆に手を引かれつつ、一歩一歩踏みしめて行くことでございます。
謙虚に、そして真剣に…、これからは残された人生を手探りのつもりで歩んで行きたいと思っております。
およしなさいよ… 無駄なこと…
盲(めしい)の市(座頭市)も、現世を見渡してつぶやいた。
『いやな渡世だなぁ…』

視覚障害者らしき男性が、白い杖を片手に私の横に立ち並び、青信号になるやいなや、とても速いスピードで横断歩道の中央部を器用巧みに歩いて行ったのです。
それはまるで前が見えているかのように、前方から進んでくる人の群に接触することもなく華麗に進むその姿は、実に見事なものでございました。
私はその時に感じたことなのですが…
『そういえば、目の不自由な人が怪我をしたというような話を聞いた事が無いな…』
そう…、むしろ目の見える健常者の方が石につまずいたり、物に突き当たったりしてよく怪我をいたします。
それは、なまじ目が見えるがために油断をし、行動も乱暴になるということ。
目の不自由な人は基本的に手探りで歩きますし、その一歩一歩が慎重であり、実に謙虚でございます。
そして、その一歩を歩むがために全神経を集中し、常に一生懸命歩きます。
これほど真剣な歩み方というものは、目の見える人では考えられぬこと。
人生で思わぬ怪我をしたくなければ、そして世の中でつまずきたくなければ、こうした目の不自由な人たちの歩み方を見習えば良いのでは…と、私は思います。
『一寸先は闇の世の中』などといいながら、気が付きますれば誰しもが随分と乱暴な歩み方をしているのではないでしょうか。
いくつになっても解らないのが『人生』というものであり、『世の中』というものでございます。
ならば、手探りで歩むほか道はございますまい。
解らない人生を、解ったようなつもりで歩むことほど危険なことはございません。
解らない世の中を、皆に教えられ、皆に手を引かれつつ、一歩一歩踏みしめて行くことでございます。
謙虚に、そして真剣に…、これからは残された人生を手探りのつもりで歩んで行きたいと思っております。
およしなさいよ… 無駄なこと…
盲(めしい)の市(座頭市)も、現世を見渡してつぶやいた。
『いやな渡世だなぁ…』

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