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治部 (石田光成)

 天下分け目…

 この言葉を耳にいたしまして、日本人でありますれば真っ先に『関ヶ原の決戦』を思い浮かべる人が多いと思います。

 東軍(徳川家康隊)と西軍(石田三成隊)の激突は、まさに日本の歴史を大きく変えた『天下分け目』の出来事であり、おそらく人類が滅亡するその日まで、日本人から延々と語り継がれるであろう壮絶な物語。

 歴史的書物や大河ドラマのストーリーなどを見ておりましても、やはりすべては家康の善に対し、三成の悪という表現で展開しているものばかりなり。

 家康を主人公として成り立つストーリーは、現世に至るまで数多く存在いたしますが、石田三成を主人公とするストーリーにはなかなかお目に掛かることができません。

 勝てば官軍…

 まさしくその言葉がそのまま当て嵌まってしまうような天下分け目の大決戦。

 あの日、西軍が勝ったといたしますれば、きっと歴史は変わっていたに違いなく、太閤殿下は神となり、島の左近は歴史的偉人伝に名を連ねたことでございましょう。

 徳川家康公は神様となり、今もって日光の東照宮に祭られておりますが、はたして石田三成は本当に悪なのでございましょうか。

 私にはそう思いきることができないのです。

 石田三成が負けたその第一の理由といたしまして、人望の無さが真っ先に取り立たされるものですが、これは現世の実社会におきましても同じであり、どこの組織にもそういう人間は必ず存在いたします。

 しかし、そういう人間も組織には必用なのです。

 私も一時期嫌われ役を務めておりました故、石田三成の心中も理解することができました。

 会社を愛すればこそのことであり、三成も、豊臣家を必死で守ろうとしただけのことでございます。

 『誰も解ってはくれぬ… 人に嫌われるということが自分の務めだということを… 憎まれる者がいるからこそ、国が成り立ってゆくということを…』(石田三成)

 三成が処刑される日の出来事といたしまして、白湯を求めた三成に干し柿を凡夫が与えたところ、干し柿は身体に悪いから食べられないと言った三成に対し、これから死ぬ者がたわけた事を言ったとばかりに大笑いされるという、歴史的にも超有名なお話がございます。

 勿論、このお話は石田三成を蔑む意味合いで語り継がれているのですが…

 私はこのお話を三成方から解釈した珍しいストーリーと出会うことができまして、今でも心に残っております。

 『(三成)すまぬが喉が渇いた故、白湯を所望したい…』

 『(凡夫)チィ 面倒じゃ、 この干し柿でも喰らえ!』

 『(三成)干し柿は痰の毒と申す故喰わぬ…』

 『(凡夫)これから首を刎ねられようというに、今更毒を断つとは片腹痛いわ!(爆笑)』

 すると三成は薄笑いを浮かべ…

 『燕雀(えんじゃく)いずくんぞ 鴻鵠(こうこく)の志を知らんや』 と、ポツリ…。

 『すなわち…、大義を志す者は 首を刎ねられる瞬間まで 命を大切にするものじゃ!』

 三成は大笑いしている凡夫全員を見下すように呟いた…と。

 最後の最後まで豊臣家を守り抜こうと尽くした男、石田三成。

 傾聴五年十月一日、六条河原にて 斬首。

 天下分け目…
 
 現代なら衆議院選での自民と民主ということになるのでしょうが、この部隊を関ヶ原の決戦に例えるのでありますれば、はたしてどちらが東軍で、どちらが西軍なのでございましょうか…

 それは、選挙が終わってみなければ解ぬことでございます。

 ただ、これだけは解ります。
 
 どちらの総大将共、命の大切さというものを根本的に理解していないようでございます。

 『筑摩江や  芦間に灯す かがり火と  ともに消えゆく 我が身なりけり』(石田三成公辞世歌より)

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