光と影
【雑草(ポエム)ららばい 第626話】
いつもお前が憎かった…
読売巨人軍の名の元に『リーグ優勝』という使命を受ける者同士、その同じチームメイトでありながら、互いが投げる試合を見ながら『打たれろ! 負けろ!』と心の中で叫び続けていた両雄がおりました。

江川 卓と西本 聖…
いずれも1970年代末期から80年代に活躍した、読売巨人軍を代表する大エースでございます。
年齢的には、江川氏は西本氏より1歳上ではございますが、プロ入りは西本氏の方が4年早いG戦士の先輩となります。
江川氏は甲子園や神宮を騒がせ、3度もドラフト会議で1位指名を受けた超大物ルーキーであり、国会を動かすまでの大事件(空白の一日)の後、紆余曲折を経て、念願の巨人入団(相思相愛)を果たしました。
一方の西本氏は、甲子園での全国大会に出場した経験も無く、ひっそりとドラフト外(補欠扱い)での入団となりましたが、血みどろの努力の甲斐もあり、4年目にしてようやく花の芽が綻びまして、巨人軍のローテーションを掴みかけようとしておりました。
そこへ登場したのが江川 卓という超大物!
西本氏の綻び始めた芽を踏み潰すかのごとく、『そこのけ!』状態で古豪を蹴散らし、全くプロでの実績がないのにも拘わらず、いきなりエース格の扱いとなったのでございます。
新人ながら、多摩川グラウンドへ高級車(ベンツ)で颯爽と通う江川氏に対しまして、4年目にして未だ自転車で通う西本氏にとりまして、当然ながら面白いわけがございません。
西本氏は、江川氏に対してライバル心どころか敵意を剥き出しにし、名前を呼ぶ時は、『江川!』と呼び捨てにしていたという話もあるほどでございます。
そして、最初は意識していなかった江川氏も次第に西本氏の思いを感じとり、同じく敵意を剥き出しにしていったのでございます。

『自分の味方が登板しているのに「打たれろ」とは何事だ!』
『チームプレーが重要なスポーツで、あるまじき行為だ!』
いや、違う…
私は違うと思っております。
これは野球の世界のみならず、戦う戦士たち全てに当てはまることでございますが、それほどまでのライバル心・敵対心の芽生えこそがチーム内を活性化させ、個々の成績もUPさせるものでございます。
同じチームであろうとも、最も大切なのは個人の成績でございます故、所詮は皆がライバルであり、敵対心無くしては勝つ事ができません。
例え今日のゲームでチームが勝っても、そのゲームで自分が活躍出来なければ何の意味も持ちませんし、仲良しこよしでやっていけるほど、プロの世界は甘くないのでございます。
ライバルに対し、『憎悪』まで抱くほどの思い、巨人軍の唯一無二のエースの称に対する名誉欲、野球を生業としている以上、自分が一番活躍して高い年俸を貰いたいという金銭欲等々…、大いに結構ではないですか!
プロであるなら、人間であるなら、そういう欲があって当然でございます。
『ライバル伝説…光と影』という名の元に、TBSテレビのドキュメンタリー番組として放送されました時、両雄の引退から20年経った現在、二人で肩を並べて語るシーンに胸が熱くなりました。

ラストシーン…
(西本)・『オレの事は、どう思ってたの?』
(江川)・『真のライバルだったよ』
(西本)・『・・・』
(江川)・『お前がいなかったら、俺はとっくに手を抜いていた』
その言葉を聞いた途端!
西本氏の目が… じわっと潤みました。
実に…
実にいい…『男の涙』でございました。
私が2005年から続けております『雑草ポエム』(現在は雑草ららばい)ですが、何を隠そう『雑草の男』という西本氏のキャッチフレーズを、そのままいただいたものでございます。
日本プロ野球史上唯一の『ドラフト外入団・通算150勝達成投手』、西本 聖氏。
まさに、最高の雑草投手でございました。
私も、かくありたく…
by 桜川
いつもお前が憎かった…
読売巨人軍の名の元に『リーグ優勝』という使命を受ける者同士、その同じチームメイトでありながら、互いが投げる試合を見ながら『打たれろ! 負けろ!』と心の中で叫び続けていた両雄がおりました。

江川 卓と西本 聖…
いずれも1970年代末期から80年代に活躍した、読売巨人軍を代表する大エースでございます。
年齢的には、江川氏は西本氏より1歳上ではございますが、プロ入りは西本氏の方が4年早いG戦士の先輩となります。
江川氏は甲子園や神宮を騒がせ、3度もドラフト会議で1位指名を受けた超大物ルーキーであり、国会を動かすまでの大事件(空白の一日)の後、紆余曲折を経て、念願の巨人入団(相思相愛)を果たしました。
一方の西本氏は、甲子園での全国大会に出場した経験も無く、ひっそりとドラフト外(補欠扱い)での入団となりましたが、血みどろの努力の甲斐もあり、4年目にしてようやく花の芽が綻びまして、巨人軍のローテーションを掴みかけようとしておりました。
そこへ登場したのが江川 卓という超大物!
西本氏の綻び始めた芽を踏み潰すかのごとく、『そこのけ!』状態で古豪を蹴散らし、全くプロでの実績がないのにも拘わらず、いきなりエース格の扱いとなったのでございます。
新人ながら、多摩川グラウンドへ高級車(ベンツ)で颯爽と通う江川氏に対しまして、4年目にして未だ自転車で通う西本氏にとりまして、当然ながら面白いわけがございません。
西本氏は、江川氏に対してライバル心どころか敵意を剥き出しにし、名前を呼ぶ時は、『江川!』と呼び捨てにしていたという話もあるほどでございます。
そして、最初は意識していなかった江川氏も次第に西本氏の思いを感じとり、同じく敵意を剥き出しにしていったのでございます。

『自分の味方が登板しているのに「打たれろ」とは何事だ!』
『チームプレーが重要なスポーツで、あるまじき行為だ!』
いや、違う…
私は違うと思っております。
これは野球の世界のみならず、戦う戦士たち全てに当てはまることでございますが、それほどまでのライバル心・敵対心の芽生えこそがチーム内を活性化させ、個々の成績もUPさせるものでございます。
同じチームであろうとも、最も大切なのは個人の成績でございます故、所詮は皆がライバルであり、敵対心無くしては勝つ事ができません。
例え今日のゲームでチームが勝っても、そのゲームで自分が活躍出来なければ何の意味も持ちませんし、仲良しこよしでやっていけるほど、プロの世界は甘くないのでございます。
ライバルに対し、『憎悪』まで抱くほどの思い、巨人軍の唯一無二のエースの称に対する名誉欲、野球を生業としている以上、自分が一番活躍して高い年俸を貰いたいという金銭欲等々…、大いに結構ではないですか!
プロであるなら、人間であるなら、そういう欲があって当然でございます。
『ライバル伝説…光と影』という名の元に、TBSテレビのドキュメンタリー番組として放送されました時、両雄の引退から20年経った現在、二人で肩を並べて語るシーンに胸が熱くなりました。

ラストシーン…
(西本)・『オレの事は、どう思ってたの?』
(江川)・『真のライバルだったよ』
(西本)・『・・・』
(江川)・『お前がいなかったら、俺はとっくに手を抜いていた』
その言葉を聞いた途端!
西本氏の目が… じわっと潤みました。
実に…
実にいい…『男の涙』でございました。
私が2005年から続けております『雑草ポエム』(現在は雑草ららばい)ですが、何を隠そう『雑草の男』という西本氏のキャッチフレーズを、そのままいただいたものでございます。
日本プロ野球史上唯一の『ドラフト外入団・通算150勝達成投手』、西本 聖氏。
まさに、最高の雑草投手でございました。
私も、かくありたく…
by 桜川
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