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まわり道 琴風豪規




本日の雑草ポエム

タイトル
 『 まわり道 琴風豪規 』

心の優しい男でした。
気は優しくて力持ち、さらには真面目で人あたりも良く、学業成績もトップクラスの秀才でございました。

彼を良く知る中学時代の恩師は、『人を蹴倒して上がっていく大相撲の世界では通用しないだろう・・・優しすぎて』と、大相撲入りを母親共々大反対していたと伺っております。

そんな周囲の意見を他所に、琴桜に見込まれて内弟子第1号となった琴風でしたが、入門してまだ間もない頃、初めて母親に電話を掛け、その第一声が 『おかあちゃん・・・さみしいよぉ・・・』。

無口で気の弱い(優しい)子供が、厳つい兄弟子達にかわいがられ、その恐怖心から、思わず母親に電話を掛けたということでした。
しかし、琴風にとって これが最初で最後の泣言となりました。

持ち前の下半身の重さから突き上げる 『がぶり寄り』 は驚異的であり、上体の力も強かったため、トントン拍子に番付を上げて行き、『末は横綱・大関か』と、新聞に大きく載せられてしまうほどのスピード出世でございました。

彼が幕内の上位へ昇進した頃、時代はまさに 『北の湖独走時代』 に突入しておりまして、下位の力士が北の湖から金星を奪う場合の取り口は、そのほとんどが引いたり叩いたりという、いわゆるフロック勝ちが主でございましたが、琴風は北の湖から金星を3っ獲得しているのですが、その全ての相撲が『まともな相撲』 で北の湖を圧倒していたのです。
(左四つから右の上手を引き付け、相手の腕を返して がぶって寄り
切るパターン)
あの大横綱北の湖が、20歳にも満たない気弱な下位力士に 手も足も出なかったのです。




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琴風は左膝じん帯を切断するという大怪我に見舞われ、大関候補から一転、一度は幕下下位にまで番付を落としてしまいますが、怪我を完治させると 幕下や十両あたりでは もはや敵は無く、一気に大関を狙える関脇までカムバックしてまいりました。

昭和55年の5月場所8日目、結び前の一番で北の湖との相撲、私は蔵前国技館の2階席で手に汗握りながら見つめておりました。

立合い、頭から当った琴風は左四つで すぐさま右の上手を引き付け十分な体制、一方の北の湖は右の上手が取れない・・・。

琴風が 『ここぞ!』 とばかりに一気にがぶって寄りたてようとしたその瞬間、北の湖が半身の体制になり、まるで横綱輪島のように右からしぼる形・・・そう、あの大横綱が守勢の形を取ったのです。

『な・・・なんと!!』(仰天!)
私の記憶が正しければ、北の湖がどんな強豪相手でもこんな守りの体制をとったことはないでしょう。

琴風は寄り立てますが、まるで両足に根が生えたようにピクリとも動かない横綱… それはそうでしょう。
あの腰の重い大横綱が半身になって受けているのですから。

結局琴風が力尽きてしまい、北の湖に軍配が上がった一番でございました。

大横綱北の湖を本気にさせた、必至にさせた琴風は『強い!』と、私は元より、周りにいたお客様方も 皆口々に呟いておりました。

『末は横綱・大関か!』
相撲人生2度目の大関候補といたしまして、いよいよ夢を達成するべく挑みました昭和55年の名古屋場所・・・

何と・・・ここに大きな落とし穴が待ち構えておりました。




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場所後に大関昇進を誰しもが確信していた名古屋場所、またしても左膝のじん帯を損傷…、引退の危機に追い込まれてしまいました。
病院のベッドで泣き明かし、一時は引退を考えてしまうほど悩みぬいた琴風…。

1年後、三度訪れた大関昇進のラストチャンス、昭和56年の9月場所でございました。

この時はウルフ フィーバー真っ盛りでございまして、千代の富士が新横綱で注目を集めていた場所。

この場所を見事な成績で優勝した琴風は、万感極まる思いで天皇賜杯を両手に抱きました。

そのときに、花道の奥で師匠の佐渡ヶ嶽親方がTV画面にアップで写り、溢れる涙を大きなタオルで拭っている表情が強く心に残っております。

残念ながら 『横綱』 には手が届きませんでしたが、立派な成績で大関の地位を汚すことなく戦い抜いた真面目な男。

最後の一番となりました寺尾戦で、引き落とされて負けたときに、手を差し伸べた寺尾に対し、何と笑顔で『ウン、ウン…』 と相槌を打つ表情に、『もう悔いは無い…』 と、彼らしい、実に見事な引退でございました。

そして…
忘れてはいけない 琴風と言えば演歌。
彼のプロ顔負けの喉には定評があり、程なくデビューシングル 『まわり道』を吹き込みまして 『歌手 琴風豪規』 が誕生いたしました。

このレコードは売れ方も良く、当時の人気番組 『ザ・ベストテン』 に生出演し、最高で15位までランクを上げたミリオンヒットとなりました。

♪ ま~わ~り~ みちぃを~ しぃたぁけ~ぇれぇ~ど~
      夢ぇが~ かなえば~ いいさ~ いいさぁ~
        遅れて~ やぁ~って来た~
           二人のはぁ~るに~ 乾杯を~ あぁぁ~あ~ ♪

『まわり道』 とは、まさに彼の相撲人生そのものでございます。



 by 桜川


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