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ピラニアの魂




日本には様々な職種があり、どのようなジャンルでも皆一生懸命に働いて生活をしておりますが、その中で 『最も食べていけない職業』 の代表格といたしまして 『俳優』 というものがございます。

一見華やかで、大金を稼ぐイメージが強い職業ですが、子役などを含めれば星の数ほど存在する 『俳優』 という肩書きを背負った人でも、実際にTVや映画に出演し、それだけで生計を立てられている売れっ子となりますと ほんの一握り…、いや一つまみ…、いやいや、一擦りいるかどうかという程度。

どんなに綺麗で実力があったといたしましても、『運』 というものに恵まれなくては表舞台に立つ事は難しく、奇跡を待っているだけで終わってしまうという 『大部屋俳優』 がほとんどでございます。

政界同様、芸能界ほど 『親の七光り』 が通用しやすい世界はないでしょう。

苦労を知らない七光り俳優が、苦労人の役を演じてみましても説得力がまるでなく、濁った眼には光もなく、秀作も駄作に変えてしまうのですから恐ろしい…。

これが年々役者の質を落としている最も大きな原因でもあります。

そうした 『親の伝』 のない 『通行人A』 的な俳優達は、その 『運』 を引き寄せるために 皆、必死でアピールいたします。

個性派俳優の 『川谷拓三』 さんも、そんな 『大部屋俳優』 の一人でしたが、彼がアピールしたことは 『殺されるプロ!』 ということでした。

初の映画出演を果たした時、その記念すべきデビュー役は 『死体』。
テロップに名前すら載らない殺され役が続いた彼等のグループは、仕事を選ばずに(どんな役でも)喰らいつくことから 『ピラニア軍団』 と呼ばれておりました。
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殺され役…と申しましてもハンパな演技ではなく、少しでも長く画面に写ろうと 『ウォ~・・・グゥワ~・・・ウゥ~ム・・・グゥェ~・・・』 と、オーバーアクションでのた打ち回りながら死んでゆくという、彼独特のアピール方法を披露。

誰もが嫌がる殺され役を、率先して演じた回数 実に3千回!
『3000回 殺された男』 といたしまして、後にTVの特番を組まれたほどでございます。

『コラ 拓ボン、さっさと死なんかい!』
と、いくら映画監督に怒鳴られても 絶対にやめようとしなかったという、彼のプロ根性は徐々に開花してゆきました。

『オレなぁ・・・俳優で食えるようになったらさぁ、おもいっきりゆでタマゴを食べてやるんだ!』

ロケ現場で出されるお弁当(ロケ弁)で、有名俳優の弁当箱には大きなゆで卵が入っていたそうで、具の無い握り飯を大人数で分け合って食べていた『大部屋俳優』の一員といたしましては、心の底から羨ましかったと申します。

努力が実り、小さいながらも初めて映画のポスターに 『川谷拓三』 という名前が載った時、念願のゆでタマゴを何と20個も一気に食べたそうで…。

『いやぁ・・・、さすがにその後ヤバかったっス!』
そりゃぁヤバイでしょう。

川谷拓三さんの母親も病床でそのポスターを枕元に置き、片隅ながら初めて掲載された息子の名前を何度も見つめ、涙を流しながら息を引き取ったのだそうです。

『運気に乗れさえすればこっちのもの!』 とばかりに、持ち前の才能を開花させ、映画はもとよりTVやラジオに引っ張りだこ。

一躍人気俳優(タレント)になってしまいました。

シャイで謙虚な川谷さんですが、どんなに売れっ子になっても 『気弱』 な性格だけは変わることなく、本番前には食事も喉を通らなくなるほど緊張しまくり、必ず外で 『ゲェ~…』 と吐いてから 『よしっ!』 とスタジオ内へ入っていくという毎日が続いていたのです…。
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『変な咳が止まらないんだよぉ…』
俳優としての地位が確立され、不動の人気者となった川谷さんですが、精神的ストレスから開放されることはなく、ついに病魔が身体全体を蝕むようになりました。

医者の診断結果は 『肺がん』、しかも末期の状態になるまで辛抱し続け、舞台に上がった川谷さん。

死期を悟った川谷さんは、病院の許可を何とか得まして、最後の力を振り絞るかのように恩師 『鶴田浩二』 さんの特番で、『このひと この芸 鶴田浩二』 というNHKのドキュメント番組に出演されました。

スタジオ内で吐血しながらも、最後の最後まで気丈に司会を務めた川谷拓三さん。

エンディングで鶴田浩二さんが涙に咽ぶシーンがモニターに映し出されますと、真っ赤な目には涙が溢れ… … …。

同じ病で旅立たれました恩師と自分を思わず重ね合わせてしまったのでしょう。
ご自身が天命を全うする…わずか数日前のことでございました。

川谷拓三さん…享年54歳


役者とは、いかにその配役になりきれるかが勝負でございます。
トレンディドラマなどなら誰でもできる演技でも、苦労人や大河ドラマでは通用しない今の俳優。

視聴率ばかりを重視して、ジャニーズのアイドルを大河の主役に抜擢してしまう 腐ったTV業界です。

『独眼竜正宗』(渡辺 謙)のように、無名でも力のある本物のプロ俳優を厳選できるような人間はいないのでしょうか。

 by 桜川


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