道化師の涙


私の机の引き出しには、昔 何かのオマケで付いてきた小さなピエロの人形が入っております。
薄汚れていて価値観の無いこんなオモチャの人形など、処分してしまえば机の中も整理が出来て良いのでしょうが、これがなかなか捨てることができないのです。
ピエロの顔には、一滴の涙が流れ落ちているということをご存知の方は多いと思いますが、その涙は必ずと言って良いほど 右目の下にメーキングされております。
人を喜ばせる(笑わせる)ことを業としている道化師が、なぜ涙を流す必要があるのでしょうか。
これは、19世紀の人気ピエロ役者でした 『バチスト・ドゥビュロー』 という人物が、舞台の上で流した本物の涙が由来であったという説がございます。
なるほど、そういう意味から考えますれば さして気にするほどの涙ではないのでしょう…
が…
私はどうしても違った意味に思えてなりません。
人を喜ばせることが仕事…
これは何もピエロに限ったことではなく、どのような仕事でも 『人を喜ばせる』 ということには違いはございません。
必ずしも 『喜ばす=笑わせる』 ではございません。
『可笑しい』 のも 『嬉しい』 のも、人が感じる喜びといたしましては同じことだと解釈できます。
ならば、この涙の意味とても、我々全ての人間が背負っているものであり、理解できるものではないでしょうか。
________________________________________
泣くのです。
誰しも皆、泣いているのです。
泣いて 泣いて 泣いて、初めて人を喜ばせることができるのです。
人相学的に申しますと、人間誰しも左右の目の大きさが異なっており、どちらの目が大きいかということでも 凶・吉の判断ができるということでございます。
基本的に、右目が大きい人は吉相で、左目が大きい人は色々な意味で苦労をする…
まぁ、所詮占いごっこと思うなかれ、さして気にする程のことでも無いのでしょうが…。
ピエロの涙は、右目から流れ落ちております。
ゆえに、右目ばかりが萎んでしまい、ピエロの人生は辛くて厳しいものであると私は勝手に思っております。
大衆の前でオチャラケて、笑われてナンボの道化師でさえも、心の中では悲しい涙を沢山流し、苦しみもがいて生きているとは…。
その昔、『ちんどん屋』 なる興業グループが存在し、お店の開店時に雇われては、賑々しく街の中をPRしながら練歩くというものでございました。
最近ではめっきり影を潜めてしまいましたが、悲しきかな、世間的には蔑まれていた職業の一つでございました。
派手な衣装と明るい笑顔の裏側では、きっと涙を流していたに違いございません。
私はピエロの人形を引っ張り出すたびに、その涙を見ては胸が熱くなってしまいます。
『泣くなよ…』
そしてまた、そのまま机の中にしまい込んで…
◎雑草ポエムはこちらから↓(トップページ)
http://
◎ここでいただきましたコメントは、『雑草ポエム掲示板』へ転記させていただきます。
『雑草ポエム掲示板』↓
http://
(個人専用アイコンをお作りいたします)
◎前回までの雑草ポエムは、『雑草ポエム保管庫』にてお読みください。
『雑草ポエム保管庫』↓
http://
◎全ての雑草ポエムはこちらが便利!
『雑草ポエム目次』
http://
スポンサーサイト