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昭和の象徴 (阿久 悠)




風が過ぎて行った…
夢が過ぎて行った…

鬼才 『阿久悠』 がこの世を去ったことによりまして、また 『昭和』 が駆け足で更に遠くなってしまいました。

戦後の歌謡界を見事に彩る 5000を超える 『阿久悠作品』 は、誰もが認める名曲揃いであり、いずれも後世に歌い継がれる秀作であることは間違いございません。

演歌、ポップス、アニメの主題歌等々、ジャンルを選ばない 『阿久悠作品』 は、幅広い年代層から長年に亘りまして好支持を受け、実に5曲もの名曲(『また逢う日まで(尾崎紀世彦)』、『北の宿から(都はるみ)』、『勝手にしやがれ(沢田研二)』、『UFO(ピンクレディー)』、『雨の慕情(八代亜紀)』)が日本レコード大賞を受賞。

ステージ上でスポットライトを浴びまくる受賞歌手を横目にし、かつ毅然とした表情で立ち尽くす阿久悠の眼力は鋭く、その光る瞳に感激の涙はございませんでした。

辛抱強い 『昭和の男』 …
その魂が阿久悠の心に宿り、名作として世に排出されたのではないでしょうか。

『男が男を歌い、女が女を歌える… そういう時代は昭和の年号と共に終わっちまったんだよ…』

晩年、『阿久悠作品』 を必用としなくなった平成時代の日本人に対する胸の内を、寂しそうにポツリと呟くその姿は小さく、巨匠の面影はすっかり薄れてしまっておりました。

時代は変わり…
『男が勝手に作った昭和の演歌こそ、男女差別の根源だろうが!』

でっかい口をおっぴろげ、臭い鼻息を吹かしまくりながら 『阿久悠作品』 に挑戦状を叩き付け、ヨダレをダクダクと垂らしながら噛み付いてきた1人の大きな 『やまとなでしこ』 が出現したのは、ちょうど日本が狂い始めたバブル経済絶頂期の頃でした…。

その女性の名は 『田島陽子』 …!
『演歌は男が作った駄作だ!』 と豪語し、徹底的に 『阿久悠作品』 をコキ下ろした張本人でございます・
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『高度経済成長の恩恵』…
これによりまして、私達はGDPでもGNPでもトップクラスの生活が可能となりました。

不況だと言われながらも、世界的に見ますれば 高水準の生活が可能なのです。

敗戦国が世界最高の経済大国と言われるようになるには、並大抵ではない努力と信じられない幸運が必要でした。

戦後、もし誰しもが普通に働いていたとしたならば、現在のような生活水準を得ることはできなかったと思います。

ゼロからのスタートではなく、マイナスからスタートした日本にとりまして、海外からクレイジーと呼ばれるほど働かなくてはならなかったのです。

それがために、様々なものが犠牲になりましたし、そういう男性を支えるために、日本の女性は強い決意で家庭(家族)を守り抜いてくださいました。

男性も女性も多くのものを犠牲にしながら手にしたのが 『奇跡の復興』 なのでございます。

勿論、当時の人たちが 『日本のため』 などと大それたことを考えていたわけではございません。

『ウサギ小屋』 のような生活から、カラーTVや自家用車、しいては子供の進学(将来)のために頑張ったということは云うまでもございませんが、その結果が今の生活にも溢れているのです。

ですから、私は今の日本に住んで経済的恩恵を甘受するのであれば、父や母の世代に対して感謝することこそあっても、簡単に批難することなどできるわけがございません。

その心は、昭和を綴った阿久悠作品にしても同じこと…。

田島陽子氏…
どうせ大口を開けて噛み付いたのであれば、よく歌詞の真意たるものを噛み砕いていただきたいのですが…
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【北の宿から】 作詞:阿久悠  作曲:小林亜星  歌:都はるみ

♪ あなた 変りは ないですか
   日毎 寒さが つのります
   着ては もらえぬ セーターを
   寒さ こらえて 編んでます
   女心の 未練でしょう
   あなた 恋しい 北の宿 ♪

♪ 吹雪 まじりに 汽車の音
   すすり 泣く夜に 聞こえます
   お酒 ならべて ただ一人
   涙唄など 歌います
   女心の 未練でしょう
   あなた 恋しい 北の宿 ♪

♪ あなた 死んでも いいですか
   胸が しんしん 泣いてます
   窓に うつして 寝化粧を
   しても 心は 晴れません
   女心の 未練でしょう
    あなた 恋しい 北の宿 ♪

阿久悠氏は、この歌詞の内容につきまして、ご自身のエッセーとしてこう語っております。

『本来 【北の宿】 というタイトルが妥当ではないかという意見がありましたが、しかし、明日はどこか別の場所に移動する、今は 「北の宿から」 書いてます… ということで はずしたくなかったのです』

人は誰しも恋に落ちれば弱くなる。
ましてやそれが 叶わぬ恋であれば尚更のこと。
自分の弱い部分を全て相手に曝け出してしまう程、執着してしまうのが人間の恋心。

『着てはもらえぬセーターを、涙こらえて編んでます…については、淡谷のり子さんから、そんな女々しいのはだめだとしかられ、セーター協会からはイメージが悪くなるとしかられました。 しかし、本当は 編み掛けのセーターを編みきってしまわないと、本当のあなたを忘れられない…、しょうなく編んでいる…というのが自分の気持ちだったのです』

弱く切ない心を詩にするも、それを棒読みされて 『女性差別だ!』。

確かに昨今の男性は弱く(情けなく)なり、女性は強くなったのでしょう。

しかし、その 『強さ』 というものを、皆どこかで履き違えているのではないでしょうか。

本当の強さなら、昔の(昭和の)女性の方が数倍強かった。

阿久悠作品には、そうした心が込められていたのです。

昭和の象徴 阿久悠さん
慎んでご冥福をお祈り致します。

 by 桜川
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