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スーダラ節



JR新橋駅の周辺は、昔から 『ビジネスマンの街』 と称され、サラリーマンの企業戦士が行き交う場所といたしまして 大変に有名な所でございます。

駅を挟みまして、東西の町並み(景観)がくっきりと分かれており、西へ向けば商業ビルが立ち並び、東に出れば汐留の新開地である 『汐タウン』 が聳え立つという、最近では 『新橋古来特有のイメージ』 を覆してしまうような、素晴らしい環境に変化してしまいました。

しかし…
その東西を真っ二つに分ける場所、JR線の高架下には 昔のイメージそのままに 無数の 『一杯飲み屋』 が軒を連ねております。

店舗の上には 夥しい数の鉄道レールが敷かれており、その上を新幹線・東海道線・山手線・京浜東北線等々の電車が、四六時中 『ガタン ゴトン』 と 騒音を撒き散らして容赦なく通過。

当然、直下の店内では振動が直接伝わりますので、常に 『ミシッ…ミシッ…』 と、しなる様な鈍い音が昼夜を通して止みません。

吊下げ式の蛍光灯は 右に左にゆらゆらと。
さらには 天井から積もったホコリもチラチラと…。

また、今時珍しく ハエ取り紙をぶら下げておいてくださる 『衛生的』?なお店まであるくらいですから、本当にここは凄い所でございます。

それでも夕方の5時を過ぎれば、どこの店でも満員御礼となりまして、椅子もテーブルも足りなくなるものですから、店の外に簡易テーブルを引っ張り出し、椅子の変わりにミカン箱やビールケースを置く始末。
高架橋が屋根代わりになりますので、雨の日でも大丈夫という発想が実に愉快で良いですね!
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この場所にやって来ますと、昭和30年代にタイムスリップしたような錯覚を起こします。

そう…、この場は 『現在の平和な日本』 を作り上げてくださいました、いわるる 『団塊の世代』 の大先輩達が、厳しい仕事の帰りに フラリと足を向けて癒された場所。

あの当時、今とは生活環境がまるで違い、家に帰れば狭苦し 『ウサギ小屋』 (アメリカ人の酷評)。
裸一貫で上京し、貧しい中でも 汗水流して一生懸命に働きました。

働いて 働いて 働いて 
やっとTVが買え、やっと洗濯機が買え…そして、ようやく安堵して生活ができるようになろうとした時、私の親は死んでしまいました。

新橋駅の薄汚れたガード下…
『男たち』 は ここで労を癒し、夢を語り、歌い、笑い、そして涙した…。

体裁ばかりを気にする都会の若者達は、ここの飲み屋街を通過する度に顔を曇らせ、足早に去って行ってしまいますが、人間誰しも素っ裸になり、薄汚い場所に土座って酒を酌み交わせれば 『社長』 も 『大臣』 も へったくれもございません。

人が本音で語れる場所
人が本気で泣ける場所

辛いことや悲しいことを、ここの場で全て吐き出してしまえば…
やがて 『ゴーーーーーーーッ』 という 高架橋を通過する電車の音が、何もかも掻き消してくれるのです。

大東京のド真ん中にも、そんな場所があったっていいじゃない…


 by 紅桜


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