闘志か 意地か!(オートレース)


この時期になりますと、どうしても思い出してしまう名勝負がございます。
オートレースの頂上決戦 『日本選手権オートレース』 が開催される時期でございますが、数々の名場面に心を踊らされてまいりましたダービーにおきまして、2004年度の 『第36回開催』 ほど、胸を熱くさせてくれたレースはございませんでした。
前年の 『35回開催(伊勢崎オートレース場)』 で、地元のエース 『高橋貢選手』 が大本命印を背負いながら、最終日の優勝戦でエンジンの状態を最良に仕上げられず、無念の惨敗。
優勝したのは敵地船橋所属のエース 『池田政和選手』 の圧勝劇に終わったのです。
『来年こそは…』
リベンジを心に誓った橋選手は、一年後の 『第36回開催(船橋オートレース場)』 におきまして、初日からコンスタントに勝ち進み、最終日の優勝戦まで無難にコマを進めることができました。
その一方、地元船橋期待のエース 池田選手も、ダービー2連覇を達成するべく順調に勝ち上がり、やはり無難に優勝戦進出を果しました。
当時、オートレース界の最強選手と目されていた両雄が 『頂上決戦 』 の舞台に立ち並んだということで、船橋オートレース場は早朝から満員状態にまで膨れ上がり、最終の第12レース優勝戦では、車券を購入することも困難になるほどのパニック状態…。
売り上げが伸び悩み、存続の危機とすら噂されていたオートレース界ではございましたが、この時ばかりはかつての賑わいを取り戻しておりました。
前日の枠番抽選会におきまして、地元の池田選手はラッキーなインコース(2枠)を引き当てましたが、対する橋選手は最悪の8番クジ(大外枠)を引いてしまうと、地元びいきの船橋ファンが 『どっ』 と沸き、心無いファンから 『ざまあみろ、コノヤロウ!』 『優勝は池田だ』 などと、聞くに堪えない罵声が橋選手に浴びせられたのです。
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ハンデレースが主流のオートレースにおきまして、この 『日本選手権』 だけはハンデなしのオープンレース(横一線)でスタートするため、実力が拮抗した選手同士では、どうしてもスタートの切りやすいインコースが有利となり、大外8枠の橋選手より2枠の池田選手の方が圧倒的に有利という条件が成り立ちます。
ましてや走り慣れているフランチャイズの走路とくれば、地元ファンの大声援も手伝うわけですから 池田選手の優位が揺るぐはずもございません。
そして、いよいよ注目の最終第12レース優勝戦!
横一線からのスタートで 早くも飛び出したのは注目の地元船橋、池田選手ではございましたが、不利な大外枠から 何と何と 第1コーナーでスピードを緩めることなく、フルスロットルの開けっ放しでカマシてきたのが橋選手でございました。
バックストレッチで橋選手が先頭に立つも、池田選手が粘って強引に張り込み、ならばと第3コーナーで橋選手が切り返すも、池田選手も負けじとインに突っ込み返す!
『さぁ コーナーごとに大歓声!』
実況アナウンサーの声にも思わず力が入る。
地元の池田vs昨年のリベンジ誓う橋
いずれも負けられない両雄の 『闘志と意地』 が、まともに火花を散らしてぶつかり合った日本選手権の優勝戦…、場内は沸きに沸いたのです。
エンジンがやや強めの池田選手が先頭にたち、橋選手が2番手キープで周回を重ね、いつ橋が仕掛けるのか、あるいはこのまま終わってしまうのかという、まさに手に汗握る10周戦。
追っている橋選手も必至でしたが、逃げている池田選手はもっとキツかったことでしょう。
どのようなマシンレースでもそうですが、2番手キープで張り付いているより、目標がないまま全力で逃げている方が数倍危険でキツいのですから…。
直線で160kmという限界速度を出しているオートレースでは、500mのアスファルトバンクが実に狭く感じられ、僅かのミスでもフェンス激突の大事故になってしまうという ギリギリの中で戦っている熱い2人に、私は心臓が止まる思いでTVに喰らい付いておりました。
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さぁ、レースは残り2周回となり、第2コーナーの立ち上がりで一度
橋選手がインに入ろうと仕掛けましたが、タイヤを滑らせ ガブられてしまい、わずかながら池田選手との車間が開いてしまいました。
『アカンわ…』
ブルーフラッグが振られた残り1周、もうこの時点で 『池田の優勝だ!』 と、オートレースファンであれば誰しもそう確信したはずでございます。
しかし、橋選手は…
『負けられない…、何としても負けられない…』
第2コーナーを立ち上がり、快速で逃げる池田選手を捕らえるには、ラストの第3コーナーで強引にインを突くしか勝ち目はないのですが、あの角度でアクセルグリップを緩めずに突っ込むということは、遠心力に耐え切れず大事故を引き起こしてしまう可能性が大きいのです。
池田選手を巻き込んで落車し、フェンス激突で命を落とすことも予想されますし、仮に事故にはならなかったといたしましても、池田選手を押圧するわけですから、走行妨害で反則失格ということにもなりかねません。
事故を恐れ、SGの2着賞金で満足するのか…
昨年の悔しさを、そのまま引き摺ってしまうのか…
SG第36回日本選手権オートレース優勝戦 是非ボリュームを上げてご覧ください!
『物凄い競走でありました…』
という、実況アナウンサーのしめの一言が このレースの全てを物語っておりました。
命を賭けてまで、有言実行を見事に果した橋貢選手は立派ですが、インを閉めるような小細工をすることなく、正々堂々と相手に道を譲り、大事故や反則を誘発させなかった池田政和選手も立派のひと言!
熱いぜ、オートレース!
by 桜川
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