魂の涙 (高橋尚子)

日本女子マラソン界のスーパースター、高橋尚子選手が正式に引退を表明いたしました。
元世界記録保持者であり、シドニー五輪の金メダリスト、おまけに日本の女子アスリートといたしまして初の国民栄誉賞を、時の内閣総理大臣より授与されるという、実に輝かしい女性の象徴的存在でございました。
日本国民の全てから愛されましたQちゃんですが、これほど笑顔のよく似合う女性はおりません。
作ってはいない、本物の笑顔なのです。
2000年のシドニー五輪におきまして、スタート直前のリラックスした表情は今でも忘れることができませんが、ステレオヘッドホンを耳に宛がい、流していた曲はHITOMIが歌う【LOVE 2000】♪
テンポの良いあのリズムを脳内にインプットし、軽快に走り出したQちゃんの胸の中には金メダルの文字しかございませんでした。
世界の王者 シモン選手との長い駆引き…
しかし、勝機を逃さないQちゃんはサングラスを左の沿道に投げ捨てますと、ここぞとばかりに心のアクセルグリップを全開にいたしました。
仕掛けを少しばかり早まったな… と言うのは小出監督の談…
確かに、ショートトラックに入ったとたん スタミナ切れにて失速し、後続のシモン選手に見る見る差を縮められておりました。
『あと1周あったら負けていた…』
そんな監督の言葉をよそに、見事な1着ゴールインを決めたQちゃんに日本中が大熱狂!
レース直後でも息を切らせることはなく、笑顔で受け答えているヒーローインタビューをTVで見ておりまして、私は尋常ではない訓練の成果だと感心させられてしまいました。
細くて針金のような躯から、どこに世界を制するパワーがあるのか理解に苦しむこともございましたが、TVの特番でユニフォームをめくり上げ、腹部を露にされました時、私は唖然としてしまいました。
腹筋は割れ、まるでキングコブラのように鍛え抜かれたその躯は、まさしくプロフェッショナルの芸術品…。
世界を制するには、ここまで鍛え抜かなくてはいけないのかと、私は思わず唸ってしまいました。
『プロのタカハシとしての走りができなくなったから…』
これが引退を決意した理由だそうでございます。
私はそれを聞いておりまして、プロという言葉の重みをよく理解している魂を持ったランナーだったなと、あらためて思い知らされたような気がいたしました。
現役選手といたしましては最後の記者会見ということでしたが、気丈に受け答えする顔にも笑みがあり、涙をこらえるような素振りは一切見せることはございませんでした。
しかし…
記者会見終了後、『お疲れ様でした…』 という言葉と軽めの拍手を受けた瞬間、初めて 『女の子』 に戻ったのでしょうか、ググッと大きな瞳に涙が溢れ出し…
それでも笑顔を絶やさぬよう、最後の最後まで涙をこらえきったプロ根性はまことに立派でございました。
高橋尚子選手
ビアン!
by 桜川
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