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ピラニア旭国 最後の一番!


それは熱い取組でした。
昭和54年の9月場所、7日目結びの一番、東から新横綱の三重ノ海、そして西から大関の旭国が、互いに神妙な面持ちで土俵に上がりました。

満身創痍の旭国は170cmの小型力士。
身体は、すでに限界を超えており、この一番に懸ける意気込みは凄まじいものがありました。

一方、受けて立つ立場の三重ノ海は、新横綱としてのプレッシャーからか、初日からまったく精彩がなく、六日目を終わった時点で3勝3敗の五部の星。

当日の朝刊には大きな文字で 『綱が重い・・・』 という見出しが出てしまうほどの不甲斐ない成績でございました。

旭国が負ければ引退の危機が、三重ノ海が負ければ4敗となり、新横綱として無念の休場を余儀なくされることは既に明白でございましたが…。

当時、中学3年生生でした私は、その日がちょうど祝日(敬老の日)ということでしたので国技館へ足を運び、当日券を買い求めまして一人で生観戦をしておりました。

旭国と、三重ノ海の心情など知る由もなく・・・。

立合い、鋭く頭からぶちかました2人は前裁きの応酬で土俵の中央、旭国は 『ピラニア』 のごとく、突かれても張られても相手の懐へ潜り込もうと必死に身体を丸めて三重ノ海の前褌を取りにかかる。

一方の三重ノ海も そうはさせじと突き放し、得意の張り手を交えて旭国の上体を起こしにかかる。

顔面を張られても眼を閉じようともしない旭国。
懐へ潜られたら厄介だと、顔面が真っ赤になりながら必死の形相で突き起こす新横綱の三重ノ海。

私は2階席の最上段で手に汗を握りながら真剣に観ておりましたが、視力1.5の目の中でも、2人の表情が鮮明に伝わってまいりました。

熱い攻防戦の後、左四つガップリになったと思いきや、一呼吸おいた後、旭国はここぞとばかりに右の外掛けで三重ノ海を崩しにかかる…
が、その一瞬、旭国の右足を跳ね上げた三重ノ海が掬い投げを放ちながら体を入替え、向正面の俵の外へ旭国を投げ出してしまいました。

三重ノ海も必死、旭国も必死…
必死な男同士が、力士生命を懸けて挑んだ素晴らしい攻防戦!
木村庄之助の軍配は三重ノ海にあがりました。

この時、旭国は倒れ様に肩を強打し、激痛のためか容易に立ち上がろうといたしませんでした。

これが 『ピラニア』 という異名をとった大関旭国の最後の一番になってしまおうとは、私は考えもしませんでした。

その夜、旭国は三重ノ海に直接電話をし…
『今日はいい相撲だった。・・・アンタのお陰で最後の土俵を悔いの残らない立派な相撲で締めくくることができた。・・・オレの分まで頑張ってくれ』

旭国は翌日から休場いたしましたが、その時の電話を意気に感じた三重ノ海は心身共に立ち直り、11勝4敗で新横綱としての責任を果すことができました。

互いに負けられない事情を背負った男と男が死力を尽くし、相撲人生を懸けた無我無心の攻防戦…、実に良い相撲内容でございました。

場所後、大関旭国は引退を表明…
小さな 『相撲博士』 は、角界の名白楽となりました。
 by 桜川


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