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親方賛歌 (雑草ポエム300作記念)

【雑草ポエム 300話 記念作品】

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それは今から4年前、平成17年のことでした。
この年は、我が敬愛し尊敬する大相撲界の師匠、元・横綱琴櫻の佐渡ヶ嶽親方が、11月の場所中に定年退職なされるという節目の年でございます。

私が大相撲の世界に惹き込まれましたのも、この佐渡ヶ嶽部屋に所属する長谷川さんに魅力を感じ、その兄弟子である琴櫻さんの不屈の闘志に心打たれたからでございます故、師匠が相撲界を去られるにあたり、何か個人的にご恩返しができないものかと、密かに仰天プランを練っておりました。

その仰天プランとは…
親方が定年退職なされるのが11月の場所中。
であるならば、佐渡ヶ嶽親方という形で千秋楽を迎えられるのは、前場所の9月場所しかございませんので、私はその9月場所をターゲットとし、千秋楽の打ち上げパーティに仕掛けてみようと決めたのです。

伊勢崎オートレース場におきまして、華麗な先頭誘導員を勤めておりましたラウンドガールにお願いし、当時、彼女がリーダーとなって活躍しておりました女性だけの八木節チーム 『桐雅会(とうがかい)』 を集結させ、佐渡ヶ嶽部屋の夢舞台で華やかに舞ってもらおうというものでございます。
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約1年間という長い時間を掛けまして、このプランを現実のものとさせるため、私は最大限の努力をいたしました。

その心意気を粋に感じてくださいました恩人の尽力等により、いよいよ話が本格化してまいりました折、私は佐渡ヶ嶽親方婦人(女将さん)と直接面会するという光栄にも恵まれ、また、ご長男の鎌谷サブマネージャー様とも入念に打ち合せを行いまして、佐渡ヶ嶽部屋は勿論のこと、日本相撲協会からも承諾を得るに至りまして、いよいよその時を迎えることができました。

場所は東京、国技館から車で10分程度の距離にあるホテルイースト21。
台風一過の不安定な天気でしたが、私の心は実に晴れやかでございました。
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平成17年の9月場所…
奇しくも佐渡ヶ嶽親方が手塩に掛けた最後の愛弟子とも言える琴欧州が、まるで師匠のラストに花を添えるかのように初日から快進撃を続け、敵なし状態で暴れ捲っておりました横綱の朝青龍の連覇に待ったを掛けようかという勢いのまま、千秋楽を迎えたのでした。

琴欧州と朝青龍、共に12勝2敗の相星となり、楽日は琴欧州が大関千代大海と、そして朝青龍は大関栃東との対戦が組まれていたのですが…。

私はホテルに先着しておりましたが、やはり打上開場は悶々とした空気に包まれておりました。

もうとっくに入場受付が始まっているというのに、誰一人としてホールのモニターTVから離れる人はおりません。

そうです、優勝の懸かった琴欧州の相撲を、そして朝青龍の相撲を…皆食入るように見つめているのです。

手を併せている方がおりました。
若い力士や 部屋関係者の方々も、固唾を飲んで見守っておりました。

本割の土俵で琴欧州が千代大海に圧勝した時は拍手の嵐でしたが、栃東が朝青龍に一撃で倒されると、ロビーが一斉に 『ブゥ~!』 と、ブーイングの嵐と化し、優勝決定戦で琴欧州が朝青龍に突き出されてしまいますと、落胆の悲鳴が沸き起こりました。

佐渡ヶ嶽部屋の関係者や、史上類をみないほどの人数が集まった後援会の支援者達にとりまして、最悪の結果となってしまったのです。
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定刻の通り、恒例の千秋楽祝賀会が始まり、関取集が全員ステージの上に上がりまして、著名人の挨拶を受けた後、佐渡ヶ嶽親方のご挨拶、並びに各力士達への労をねぎらい、一人ひとりにお言葉を掛けていらっしゃいました。

ところが、その場に琴欧州の姿がありません。

敢闘賞を受賞しましたので、表彰式に参列しているために会場入りが遅れているのですが、親方が場内のお客様の笑いを誘うために…

『あの野郎・・・、優勝できなんでワシに怒られると思って逃げやがったな・・・』 

この言葉に場内は大爆笑!
悶々と張り詰めていた空気が一気に解きほぐされた瞬間でございました。

やがて、遅れ馳せながら主役(琴欧州)の登場!
静まり返った場内全員が 親方の言葉に注目いたしました。

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『欧州、素晴らしいじゃないか・・・お前、大関に勝って準優勝だぞぉ、おい!』

意外とも思えたこの言葉に、超満員の開場は拍手喝采!
優勝を逃したことを怒るでもなし、惜しむでもなし・・・
愛弟子の残した立派な成績を褒めた師匠は父親そのものでございました。

この人なら、この親方なら、日頃どんなに厳しい言葉や態度で接しられても我慢ができる!
どんなに竹刀で打ちのめされても、きっと憎しみの心には変貌しないだろうと、改めて思うことができました。

結果的には残念でしたが、実に素晴らしい佐渡ヶ嶽部屋の千秋楽でございました。
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そしていよいよ私の出番。
余興の一環といたしまして、美しい桐雅会の面々を送り出しまして、親方最後の東京場所・千秋楽に花を添えさせていただきました。
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この八木節ですが、今回は特別に一番の歌詞を私が作詞し、メンバーの歌い手さんに魂込めて歌っていただきましたので、その歌詞を下記に記します。
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【上州八木節 (親方賛歌)】
作詞:紅桜 親吾(現・桜川 久慶)
唄 :桐生八木節桐雅会


紅の秋場所 千秋楽に
五十三代 横綱琴桜(さくら)
のどわ おっつけ 一気の寄りで
綱を射止めた 猛牛琴桜(さくら)
そんな親方(オヤジ)の 魂讃歌
唄いまするは 上州娘
時間来るまで 伺いまするが
オオイサネー


べにの あきばしょ せんしゅう らくに
ごじゅう さんだい よこづな さくら
のどわ おっつけ いっきの よりで
つなを いとめた もうぎゅう さくら
そんな オヤジの たましい さんか
うたい まするは じょうしゅう むすめ
じかん くるまで うかがい まするが
オオイサネー
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桐雅会の熱演が終わるやいなや、私は会場を車椅子で挨拶回りをしている親方を呼び止めまして、メンバーの若い女性から大きな花束を手渡していただきました。
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私が直接感謝を込めて手渡したかったのではございますが、妙なオトコに渡されるより、やはり若い女性たちから手渡されたほうが親方も嬉しいだろうという配慮もございまして、私は写真撮影に専念させていただきました。
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この写真、我ながら良いショットだと思いますし、親方も実に良い表情で快く花束を受け取っております。
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いい…
実にいい!



しかし…
この日から僅か二年後…
生っ粋の愛弟子、琴光喜の大関昇進を見届けた直後…
まさか帰らぬ人になってしまおうとは…

この時、私は夢にも思っておりませんでした。
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紅の秋場所 千秋楽に
五十三代 横綱琴桜(さくら)
のどわ おっつけ 一気の寄りで
綱を射止めた 猛牛琴桜(さくら)
そんな親方(オヤジ)の 魂讃歌
唄いまするは 桜川
時間来るまで 伺いまするが
オオイサネー
 by 桜川



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雑草ポエム、書籍化することができました。

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