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あの 案山子のように…


【雑草ポエム 第364話】

私は子供の頃、父親が大嫌いでございました。
出来の良い姉と比較され、いつも殴られてばかりの少年時代。
私にとりまして、本当に父親とは怖い存在でしかございませんでした。

しかし…
元来、人見知りをしたがる私でございましたので、東京本社へ就職したばかりの時は緊張する日々の連続であり、なかなか周りに溶け込むことができないまま、大阪本社へ長期の出張を命じられた時の事でございます。

独身寮に一本の電話が入り…
『寂しくはないか…? 友達はできたのか…?』

電話は、たったそれだけの涙声…
ものの数秒で受話器を置いた、つまらぬ父子の会話ではございましたが…。
私は男親の優しさという物を、初めて知ることのできた貴重な瞬間でございました。

仕事に追われ、人間関係の恐怖に戦き、連日切羽詰った状況下の中におきまして、血の通わぬ冷たい都会の空気ばかりが、私の心の中を通り抜けて行くばかりなり…。

『誰か助けて…』と、思わず心の悲鳴を上げてみましても、もう助けてくれる…心底私を心配してくれる父親は、残念ながらこの世にはおりません。

雪を被った田んぼの中の案山子のように、冷たい大都会での一人ぼっちは本当に辛くて寂しいものでございます。

あの時、父親が気まぐれにも息子を案じたということは、本人もかつて、都会の冷たい一人ぼっちの辛さを経験してきたということだったのかもしれません。

もう会えない…
だからこそ、男親の不器用ながらも優しい心という物が、今になって身に染みる思いがいたします。

オヤジよ…

by 桜川

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