やじろべえ

【雑草ポエム 第366話】
小学校低学年の時、理科の実験で興味深く眺めていたものがございました。
それは『やじろべえ』と称する可愛らしいバランス人形…。
基本的に、やじろべえがバランスを崩さないのは、重心が支点の真下にあるからなのですが、これが少しでも傾きますと、必然的に重心の位置が上がりますので重力の作用で重心の低いものとの位置に戻ろうといたします。
これを、三段重ねとした場合にしても同じこと。
親の上に子、子の上に孫が乗っても倒れないのは、親の足、子の足、孫の足を支点といたしまして、その上のやじろべえの部分の重心が、必然的に支点の真下へ来るようになるからでございます。
このように、傾きますと元へ戻ろうとする復元力が生じますのが『やじろべえ』の根本たる原理であり、子供心を最もくすぐった不思議な力でございました。
今、大人になりまして…
今まで不可解であった現実の全てが、この『やじろべえ』に例えることができると悟りましたのは、まだごく最近のことでございます。
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幸せも不幸せも…
背中合わせの表と裏
幸せも不幸せも…
意地っ張りの綱引き
幸せも不幸せも…
考え方の右と左
幸せも不幸せも…
後悔が残るだけ
涙ひと粒…
傾く…やじろべえ
【作詞 秋元 康 引用】
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そう…
片目から涙を流せば…
その涙ひとつ分だけ…、やじろべえは傾いてしまうのです。
我、幸せになりたいと思う前に…
我、幸せなのだと感じることができさえいたしますれば…
やじろべえは傾くことなく、きっと微笑んでくれるでしょう。
by 桜川
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