普天間の遺恨



【雑草ポエム 第383話】
デヴィ夫人が大きな扇子をはためかせ、普天間基地の問題に関しましてポツリと一言呟きました。
『そもそもさぁ、基地ができた時に周囲に住んでいた人はいなかったんだからさぁ、基地を移転するよりも住民を移転させたほうがよろしくてよ あ~た!』と、でかい口を開けて偉そうにほざいたとか。
まぁ、単に逆転の発想だとは思いますが、これはデヴィ夫人の事実誤認と重要な視点が欠落したモノの見方であろうかと思います。
確かに、普天間基地が出来た当時は、周囲に住宅も学校もなかったはずでございます。
周囲の住民は、そこに基地があるとわかっていて住宅を建てて住むことにいたしました。
が…しかし、当時の普天間基地はほとんど使用されていなかったということでございます。
基地があるとわかっていて住み始めたのだから、問題があるなら住民が出て行けばよい…というのは如何にも乱暴。
確かに基地はありましたが、飛行機の離着陸が始まったのは住宅街が形成された後ですので、この理屈は住民に対してたいへん酷なことでございますし、そしてこの考えには重要な視点が欠落しています。
それは、怖い思いをしているのは住民だけではないという『視点』でございます。
滑走路のすぐ近くに住宅や鉄筋コンクリートの学校があるということは、離着陸に失敗した時の緩衝エリアが全くないことを意味しますので、夜間のスクランブルなど事故が起こりやすい環境であり、ミスをすれば即大事故に繋がるという環境で飛行機を飛ばしている米軍も、実際には怖い思いをしているのでございます。
この移転問題は日米の双方が望んでいたことですので、交渉次第では日米の双方が歩み寄る余地があったはずでございます。
しかしながら、約束を守ると言っておきながら、一方的に約束を反故にしようとする鳩山政権のやり方は最悪のアプローチであり、アフガニスタンやイラク問題で米軍の指揮官としての資質を問われているオバマ大統領にとりまして、もはや絶対に妥協できないレベルになってしまったと、私は考えております。
普天間問題は、もはやどのように決着しても遺恨を残すことは明らかでございます。
5月の決着すら絶望的となりますと、いよいよ日米関係は急速に冷めていき、経済的な損失も十二分に考えられます。
今でもアメリカは日本の商売にとって最大級のお得意様でございます。
内需が冷えて外需頼みになっている現在、その外需の最大の顧客との仲をいたずらに悪くすることに、何のメリットもございません。
今回の民主党の対応は、ただただ国益を損ねるだけだということに、どうして誰も気が付いてくれないのでございましょうか…。
by 桜川
スポンサーサイト