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ナンバーワン 田代祐一

『自分のファイトが足らん時、他人のファイトを見て作ろう!』

これは元プロボクサーである赤井英和氏が口にしていた語録であり、一時期 『オートレース』 のキャッチフレーズにもなっておりました。

仕事でも スポーツ競技におきましても、他人の頑張る姿というものは美しく、時として 『感動』 させられることも多々ございます。

特に 『諦めない姿勢』 というものには魅せられてしまい、それがために大怪我や大事故に繋がったといたしましても 『よくやった!』 と、第三者は褒めてくれるに違いないでしょう。

人間は誰しも 『負けたくない』 という心が必ずどこかにございます。

絶体絶命という境地に追い込まれた時、ここで踏ん張れば大怪我をしてしまう可能性が高いと理解していながら、それでも歯を食いしばって頑張る姿勢…。

これは本人といたしましても大変勇気の要ることであり、人はそうした姿に感動するものでございます。

私はオートレーサーの 『田代祐一選手』 に憧れておりますが、彼こそは非情なまでのファイティングマシンでございまして、SGレースの優勝戦でも常に1着に拘り続けた 『男 田代!』。

2番手で最終周回を迎えた田代選手は、そのまま無難にゴール線を駆け抜けさえすれば、高額なSGレースの2着賞金をゲットできることを知りながら、先頭者の懐(イン)目掛けてアクセルグリップを全開させ、強引に突っ込んで 『反則失格』 となってしまう…。

『2着になって後悔するのなら、いっそのこと反則失格になった方が気分もいいからね!』

死んでも最後まで諦めない姿勢を貫き通す田代選手は、賞金ゼロとなった結果に対し、タバコを燻らせながらも満足げに引き上げてゆくという 『男気』。

彼のこうした姿勢に多くのオートレースファンがシビレたものでございます。

私も 『かくありたく』 今まで頑張っていたのではございましたが…

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人呼んで 『男 田代!』
往年のオートレースファンでありますれば、実に馴染み深い専門用語でございます。

あの日、あの時、あの場所で…
この選手の熱い走りを目の当たりにしなければ…
私は今もってオートレースという公営競技の存在自体、知ることもなかったことでしょう。

誰よりも熱く、誰よりも激しく、そして誰よりも度胸がいい…。
オートレース界のカリスマ的存在、その人の名は田代祐一。

オートレースのオーバルバンクは500mの楕円形。
基本的には直線の立ち上がりでアクセルを開いてスピードを上げ、コーナーで減速しながら捌き合うというパターンの繰り返しで、通常6周回のレースが行われます。

しかし、この田代選手というライダーの乗り方(戦法)は規格外。
コーナーにおいてもスピードを緩めることなく、先行車のアウトから一気にマクリあげるという強気な攻めを基本とし、落車事故も恐れないという姿勢がファンの心を魅了する。

特に最終周回の第3コーナーでは、危険を承知で相手のインコースへ前傾姿勢の状態で突っ込んでいくという、勝負に対する執念を持った超人ファイターでございます。

この前傾姿勢で突っ込む様を、あたかも 「ナメルなぁー!」 と叫びながら突進しているように見えることから、日刊スポーツ紙の専門記者が、『ナメルな走法!』 と銘々し、オートレース界における田代選手の人気は高まる一方でございました。

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私は田代選手の鋭い目が大好きです。
彼の目から湧き出る闘志、そして真の男気というものを感じさせてくれるという、実に素晴らしい目をしております。これは元阪神タイガースのエース、マイク仲田投手がマウンド上で振り被り、対戦バッターに向って投球する際の、物凄い鬼の形相にも似たり!

錆付いた現代の日本国におきまして、今この目をして一生懸命働いている男性がいったいどれだけいるのでしょう。

『2着の賞金なんざいらねぇ…』
『ピン(優勝)でなければ失格になっても悔いはねぇ…』

優勝に拘る田代選手は、先頭を走る選手のインを強引に突き、押圧しながらも望み通りの1着でゴールラインを駆け抜けたSGレースの優勝戦。

自身の反則が判定される赤旗審議の最中でも、控え室で満足そうにタバコを燻らし、平気で他人の足を踏み付けて去って行く、男・田代。

私はこの男に心底惚れてしまいました。

しかしながら…
オートレース界の若大将といたしまして、デビュー当時から唸らせた田代選手ではございましたが、気が付きますればもう五十路…

動体視力の衰えなど、やはり体力的な老いはどうしても隠すことができず、さらには弟分として可愛がっていた中村政信選手の殉職という大ショックをまともに受け、今でもインタビューで中村選手の話に及ぶと思わず目頭を押さえてしまう優男に大変身。

田代ファンといたしましては誠に残念ではございますが、今の田代選手はかつての鬼ではございません。

が…
彼の目はまだ死んではいない。
あの鋭い目が輝いている限り、私は彼から教わりました 『ナメルナ人生』 の魂を、これからも温存し続けることができるでしょう。

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4月6日
引退発表の時にだけ、鬼の眼にも綺麗な涙が光りました。


本当にありがとう、ありがとう、田代祐一!
本当にお疲れさまでした。

by 桜川

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桜川 久慶

Author:桜川 久慶
雑草ポエム、書籍化することができました。

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