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Taiho (大鵬幸喜)


【雑草ポエム 第346話】

私の心に輝き続ける素晴らしき、かつ偉大な人物…
元横綱の大鵬さん(納谷幸喜氏)が昨日、文部科学大臣によりまして『文化功労者』に選出されたという吉報が舞い込んでまいりました。

既に日本相撲協会を定年退職なされ、昨年は国技館内にある相撲博物館の館長を勇退し、現在は歩くこともままならない検査入院の身でありながら、婦人に車椅子を押され、満面の笑みを浮かべて喜びの会見を行う姿に私は感動してしまいました。

元力士としては初の選出という素晴らしい快挙であり、ご自身が数多くもたれている勲章(紺綬褒章・紫綬褒章等々)の中でも、もっとも嬉しく思われていることでしょう。

現役時代は大横綱の大鵬幸喜…
これは異論が出るところではございますが、私の中では戦後最強ではなく、大相撲史上最強の力士であったと信じて疑うことはございません。

大鵬さんは強いだけではございませんで、何よりその人間性が素晴らしかった。
スピード出世を果し、その天才的な相撲の取り口を評価され、彼はいつしか『天才』という文字を独占し続けておりました。

しかし…
『オレは天才じゃない、努力家なんだ!』
天才と呼ばれることを極力嫌い、事実、師匠の二所ノ関親方から受けたスパルタ指導はハンパな物ではなく、それに耐えての成長であるが故に、天才という言葉を嫌っていたという話は有名でございます。

若手の育成にも積極的であり、粋のいい後輩を見つけては率先して胸を貸し、その誰よりも一番稽古をこなしていたのが最強横綱の大鵬さんでございました。

一番強い人が一番稽古量が多いのですから負ける理由がございません。
6連覇という偉業を2度も達成できたのも、この人の努力を考えますれば当然のことだと思います。

後輩達からも尊敬され、彼らが大関や横綱に昇進した際、決まって出てくる第一声は…
『大鵬さんのおかげです…』

一門で可愛がっていた玉乃島(後の横綱玉の海)との初対決で、玉乃島の外掛けを喰らって土俵の中央に背中から倒されてしまった大鵬さん…。

玉乃島は恐縮しながら大鵬さんの手を取り立ち上げますと、その場でペコリ…と無言のまま頭を下げました。

大相撲では自分が世話になった兄弟子に勝つということは『恩返し』という意味であり、玉乃島は初対決で立派に恩返しをしたのです。

その後、東西の支度部屋にそれぞれ戻った両者ですが、勝った玉乃島は風呂場に向うことも無く、その足で大鵬さんのいる東の支度部屋へ直行し…
『大鵬関、ごっちゃんでした…』と、また深々と頭を下げたのです。

『おう シマ、 強くなったな!』(大鵬)
『本当に… おかげさんで…』(玉乃島)

これが…
この心こそが、相撲道の極意たるものでございます。

勝つばかりが横綱ではない。
外国人のみならず、この言葉の意味が理解できない力士が本当に多くなってしまいました。

朝青龍に勝った若手力士が、はたして支度部屋の朝青龍を訪ねて頭を下げようとするのでしょうか。

勝つためには、稽古場で若手を潰してもいいという馬鹿な男が牛耳る現在の相撲界。
師匠を無視して稽古もせず、ぶったるんだ肉体で初日を向かえる生半可な横綱に、あっさり賜杯を持っていかれる無様な現役力士たち。

大鵬さんの苦言はまだまだ続くことでしょう。

by 桜川

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桜川 久慶

Author:桜川 久慶
雑草ポエム、書籍化することができました。

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