【雑草ポエム 第694話】
勝つと思うな
思えば 負けよ…
この台詞、我が人生におきまして、幾度となく口にしていた名台詞でございます。
ご存知の通り、これは鬼才『関沢 新一』氏がこの世に送り出した名曲、『柔』(美空ひばり)の歌い出し文句でございますが、自分が何かに挑む際、不安や恐怖心に震える心を平常心に導くべく、自ら唱えた自己催眠でもございました。
しかしながら…
勝ちにいかずに勝てるものでございましょうか。
確かに、勝敗とは時の運。
なれど、日々を勝つには『勝とう』と思って努力をせねば、絶対に勝つ事など出来ぬはずでございます。

勝つと思うな 思えば負けよ
負けてもともと この胸の
奥に生きてる 柔の夢が
一生一度を 待っている
関沢 新一氏の説くこの歌詞は、『少しばかり強いからと、けっして天狗になってはいけない』という意味であり、どんな相手でも尊重し、胸をかりるつもりで行きなさい…と、私は解釈しております。
思いますれば、私も間もなく人生50年と相成ります。
その中での10年間、縁あって『柔道』に勤しみ、術を学び、参段位を獲るまでに成長させていただきました。

礼に始まり礼に終わるという心は、今でも変わることなく持ち続けており、神聖な職場の中に足を踏み入れた時に一礼(お願いします)し、出るときにも向き直って一礼(ありがとうございました)する事にしております。
勝つと思うな 思えば負けよ
50年も生きて来て、その言葉の『真髄』たるものを理解できぬようでは、柔術の有段者が聞いて呆れるというものでございます。
他国籍の横綱(白鵬)が言いました。
『かの角聖『双葉山』が、前人未到の大記録である69連勝を達成することができたのは、彼は《勝ちにいっていない》からだと私は思う』。
勝ちにいっていないとは、いったいどういうことでございましょうか。
負けを許されない横綱たるもの、勝ちたくないなどと思うわけもなく、『勝たねば』と思う心に偽りは無に等しい。

参議院議員、蓮訪大臣の名台詞
『1位じゃなければダメなんですか? 2位じゃダメなんですか?』
馬鹿野郎!
1位を狙って勝ちにいくからこそ、2位になれるという現実を知らんのか。
勝つと思うな 思えば負けよ
負けてもともと この胸の
奥に生きてる 柔の夢が
一生一度を 待っている
やはり、まだ私には理解できない。
この真髄を、今の私では理解することができません。
負けてもともと…
そう思える時が本当に理解できた時。
おそらく、私の『その時』とは…
死ぬ時なのかもしれません。
by 桜川